To tomorrow From yesterday

『闇の子供たち』を読んで...。

のっけから、吐き気が止まらず、半分を読み終えるのに、いつもの数倍時間と気持ちが必要だった...それは、日本から遠い国で起こっている戦争や、人間的に遠いと感じる凶悪犯の悲惨さや残酷さを想像するより、ずっと身近に起きていると感じるほど、生活と社会に密着している問題であり、問題に関わる人達は、普通の生活に溶け込み、その事実を問題だと認識していない怖さがある。
貧困が先なのか?欲求に金を惜しまない大人が先なのか?
どちらも、求めるが故に、噛み合ってしまうのか?
人の果てしない欲求が、生々しい描写となって、私の頭の中に現れる。

これを、映像化するには、かなりの問題が起きそうだ...実際の映画を見ていない私には、どんな風に描かれたのか?気になる所ではあるが、出来れば、目の当たりにはしたくない....自分の想像だけで、十分具合が悪いのだから...。

読み進めて半分を過ぎると、あまりにも強烈な描写の世界に、長く浸ったせいか、
吐き気もせずに淡々と読む自分に気がつく....はっとその自分に、ギラギラした欲求を感じ、一層恐怖を感じる。

『itと呼ばれて』や『誰も知らない』など、子供に対する大人の残酷な仕打ちを、今までも読んできた。特定の大人から受ける虐待の世界で、子供たちが、人として扱われない事や、その子供が求める唯一の大人に怒りを感じたが、これは、怒りと言うより、絶望...題名の暗闇...そのもの...何も感じたくない世界がそこにある。
不特定多数の大人が、それぞれの欲求のために使い捨ての道具化している世界...まさに、生身の大人のおもちゃ。この世界は、特定の人達に利用されているだけではなく、不特定多数の大人に黙認され、また、誰でも、利用可能なほど情報があると言う事。
なんて表現したらいいのか....言葉が見つからない。
あるシーンに、良く働いた自分のご褒美に、少年を買いにこの国まで休暇を過ごしにくるキャリアウーマンの姿が描かれているが、彼女は、いとも普通に、性的欲求を彼(8歳や10歳の子供)で満たす。描写にのめり込む自分も、彼女と何ら変わらないのではないか?と自分を責め立て、自分の感覚を破壊したくなる思いが、いっそう、胃袋を、ヒックリかえし、のどに込み上げる。人の欲求と言う計り知れない暗闇は、自分にも存在している...最初、便器を抱えながら読んでいた自分が、遠い存在に感じてしまう。

どこまで現実で、どこまでを想像で書いたものなのか?は解らないが、
従順にしたがう子供相手に満足する大人たちは、世界中に存在して、何食わぬ顔で、暮らしている。その子を買う事に、なんのためらいも罪悪感も無く...ややもすれば、慈善事業をしている気分の輩まで描写される...。
この世界は、爆撃で命を一瞬にして奪いさる事よりも、もっと悪業ではないか?とさえ感じる。お金のために売られ、生きて抜け出せない地獄に囚われ...道具として生かされ、扱われ、その世界から出るのは、病気で死に、ゴミとして捨てられる時だけ。もしくは、命をお金で買われた時...。
この子たちを買う大人たちに聞いてみたい...自分の子供にも、同じ事が出来るか?と。この子たちを売り、そのお金でTVを買い回りに自慢する親に問いたい、何故自分の命を売らないのかと。子供を産むのは、お金になるからなのか?と。

この暗闇に、自分は踏み込みたくないと思うが、見ぬフリしたり、人ごとで済ませてはいけない問題でもあると思う。かといって、私に何か出来る事がある訳じゃないかもしれないが、普通の暮らしの中で、快感も、満足も感じられる自分でいたい...。お金で解決できる欲求も、物事も、手軽でいい?その世界は、何も生まないし...何も感じない世界でしかない。
怖い事に....現在の日本も似たようなものだと感じる事が有る。
手軽な分、苦労や辛さが無いから、ありがたみも無い。
人との間に愛を育てる苦労が無く、お金や力で性を処理すれば、実際生まれる出てくる子供にも、愛情が生まれる事も無く、育てる気もさらさら存在しない...。
何かを感じてしまえば、辛いばかりだから、閉ざしたまま...何を見ても、感じない事が、自分を守る防御...そのうち、本当に何も感じなくなる、自分にも周りにも。

怒る事も、悲しむ事も、泣く事も許されない世界に、喜びなんて存在しない。
辛さも、苦しさも感じない人間に、とびっきりの笑顔は作れない。
腹の底から笑いたいなら、五感をフルに使って感じなければ、心は解放されない。

結局、この暗闇は、戦争や貧困が生み出したんじゃなく、人が作り出した世界。
恐怖は、貧困でも戦争でもなく、見境の無い欲望なんだ。
自分と同じ人間なんだ....その事実が、何よりも、痛く突き刺さった。
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by marquetry | 2009-01-04 20:43 | 映画、書物
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