『やさしい刺繍』
夫を亡くして9ヶ月にもなるのに、まだ喪に服して、黒い服を来ている老女。
それを見ていて、心を痛めた髪結いの婦人が、 なにか元気づける方法は無いか?と、老女と仲が良かった二人に相談します。 裁縫が得意だと聞いた町の男衆は、 老女に、町の伝統、教会の男声合唱団の旗が、ネズミに食べられ、 ボロボロになったから直して欲しいと頼みます。 老女は、修理に使える生地が無いか?と家中をさがします。 髪結いの婦人は、それを手伝いながら、ひとつの化粧箱の中身を見てしまいます。 それは、きれいなレースや刺繍の施されたキャミソールやブラジャーの作品。 老女は、下着や刺繍まで施せる職人だった...結婚して夫に反対されるまでは...。 老女は、ポツリと言う...パリでランジェリーショップを開くのが夢だったの...と。 結局、旗に使えそうな生地は見つからず、 旗の生地を手に入れるため、久々に街へ出かける事に...。 髪結いの婦人や、仲良し老女も一緒に...。 髪結いの婦人は、生地を買い入れたあと、 街のランジェリーショップへ立ち寄ります。 仲良し老女は、レースの下着をみては、したない...と眉間にシワを寄せますが、 老女は、じっと見つめてこういいます...縫製がなってない...これではわきが吊る...等々。 田舎町に戻って、髪結いの婦人は言います...夢をあきらめないでと。 老女は、そう、80代ぐらい...髪結いの婦人は、50代くらい。 仲良し老女Aは70代で施設でくらし、仲良し老女Bは夫の介護を献身的に暮らしていた。 老女はひとり、街へでかけ、レースや刺繍の材料を購入し、 昔の感覚を取り戻そうと作り始めます。 そんな姿を見て、老女Aはこの町で買うものなどいない...恥をかくだけだと反対。 老女Bは、そんな下着をつくる老女から離れていきます。 髪結いの婦人とその娘だけは、喪に服していた老女が、みるみるイキイキしてくる姿を喜び、 協力していきます。 老女が元気になっていく姿を横目に、仲良し老女達の心にも変化が現れます。 そんな中、やっとランジェリーショップがOPENという時に、 町の男衆にその事がバレ、笑い者にされます。 婦人と老女は、肩を落とし、店を開ける事をあきらめようとします。 そのとき、老女Aはインターネットで販売したらどうか?と言ってきます。 また、老女Bは、車の免許を取るから、郵便局までの配送は自分が手伝うと言います。 ...映画は、アクションも情熱的な恋愛でもない、ありふれた物語。 田舎町ではありがちな保守的な男衆と、そこに従って来た女達。 おしゃれな事も、目立つ事も、他と協調できないことは、 うけいれられないこの田舎町で、老女は、しっかりと自立する。 老女が起こした行動が、すこしづつ男衆たちに変化をもたらしていく...。 やさしい刺繍の老女は、とっても素敵な表情に...。 女性として、いつまでも、こうゆう表情でありたいと、ちょっり勇気がもらえる映画です。
by marquetry
| 2010-10-30 11:18
| 映画、書物
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